私は自分よりもはるかに大きな彼を腕に包んだ。彼が座っていて私が目の前で立っている。私の全身に彼の冷たさが伝わる。 「私は、誰よりもアルが好き。」 ガシャリと言う音がして冷たいものが私の腰のあたりに、背中の上ほうにある。(それらは彼の手。) 「もとの体に戻らなくてもいいの。私はアルが好き。」 「僕はもとの体に戻るよ。少し大きくて不便だから。」 彼の、人間で言う頬のあたりに少しだけキスをした。触ってあるのは鉄の感触とその鉄の伝える冷たさ。そこにはもう何もないかのように。でも、そこにアルフォンス・エルリックはいる。彼に「大丈夫」と言ったところで彼は報われない! 「、僕がもとの体に戻ったら手をつなごうよ。」 「うん。」 「僕はちゃんと道路側を歩くよ。」 「うん。お願い。」 だから私たちはその日が来るまで絶対に手をつながない。もしもその日がこなくたっていい。私たちが手をつながないのはセックスのような愛情表現に似てるから。キスをしても、抱きしめあっても、何があっても。 そ の 日 に 私 た ち を 遮 る も の は な い 。 |
T R U E
(050429)