「もう少し計画的にできないの?」


うるさいと思った俺は噛みつきにいくとサラリと避けられてしまってどうしようもなくなった。理由はわかる。つまり彼女は事後に何もしたく無いってことだけは。


「新しいの取ってきて。」


「そのままでいいよ。寝るだけだし。」


「私は嫌。」


眉間に線をつくった。シーツを渡したついでに噛みついてやると思った俺はシーツを彼女に渡した。そうするともうそれは予言されていたことのように彼女にキスをされた。男を操るようなスパイエージェントでもないのに本当に上手だと思った。俺は鼻の下伸ばして騙されかける馬鹿な男の役で大事な物をとられて気がつくんだろくか。これを言ったら絶対に映画の見すぎだとかそんなこと言われそうで俺は嫌だった。そうか悲しいときすらも操られていく。そうか嬉しいときすらも操られていく。でも、そこに何かの誕生と言う奇跡の感覚。


「ありがとう。」


マジシャンみたいに隠して、見せる。でもそこら辺のマジシャンと違って種をけして見せない。


「修のキスはさ、噛みつくみたいで怖いよ。」


「噛みついてるからだよ。それは。」


シーツをかえて汚い方を洗濯機にぶち込んで彼女は戻ってきた。ついでにタオルを一枚持ってきた。これは彼女の癖で彼女は寝るとき必ずと言っていいほど枕にタオルをまく。髪が濡れているわけでもなんでもないのに。


「電気切ろうか?」


「うん。」


1つのベットの上で2人で寝る。背中で新しいシーツを確認した。ああ、どこも濡れてない。





噛みついてやると今度こそ彼女にキスをした。上を食べて下を食べて全てを食べる。1回のチャンスで3回のキス。口を離すと何か言われそうだった。


「噛みつかないで。」


「リアルだろ。」


彼女はコントロールが上手い。コントロールを受ける俺はいつまで続くかを恐れている。2人にしかわからない記号をを送信して受信できるかを。