「久しぶりですね。 サン。」 そのあなたは現世の人間。そうして私はただの死神。 こんなにも種族の違いは人間関係のあいだに大きく壁を作るなんて・・・! 「どうしましたか?隊長さんにでもしかられましたか?」 少しだけその人の服を掴んだ。この手に何かがある気がした。 こういう擬似表現は本当に残酷だ。だってあるはずもないんだから。 「私は、死神であることより、あなたといたい。」 人は歳を取るものだからいつか終わりも来る。けど死神は違う。 歳は取らないから死ぬことはない。 死ぬときは最後、本当に苦しんで死ぬ。いつから知ってしまったんだろう。 本当に困り果てているその声は、ただ痛い。 「あなたがいなかったら何もない。」 「、それを叶えることはできないんですよ。」 「それでもまだ私はあなたといたい。」 深く優しく体重が重なった。きっと、もう人を愛することはできない。 こういう人を愛してしまったから。 この感情が私の中から消えなくては人を愛してあげること何てできない。 この感情がなくなって私は始めて彼を「過去の人」という愛称で呼べる気がする。 髪をなでてくれるその手が好きだった。暖かいその目の奥が好きだった。 嘘のようで真実に何より近い答えだってくれた。 好きなんだ。今も。そしてこれからも。 「どうしようもない。物分りが悪いの。どうしてあなたはいないの?」 涙が頬を伝ってこぼれ落ちた。あなたは少しだけ目をそらしていた。 必死に何かを止めていた。私を抱く腕が少しだけ震える。 怒 っ て い る ? 悲 し ん で い る ? 笑 っ て い る ? 「、帰りなさい。」 あ な た は た だ 私 の 幸 せ を 願 う 。 私 は ま だ あ な た と の 幸 せ を 望 む 。 その人は肩を震わせて泣いていた。(様に見えた。)実際涙は落ちていない。 手を伸ばすとその手は上手く返されていた。 近くに何かを、そうよ私をあなたの側にいさせて欲しい。 たったそれだけ。 |
(050209)加筆・修正