「あの人はああ見えて本当は誠実だよ。」


私は自分でも驚く言葉を友人に言っていた。友人は笑ってた。


「あなたも十分、一言多いなぁ。」


私はその一部始終を話した。友人は浦原隊長がキライから数えたほうが早いと言っていたから。人間好き嫌いはあるし仕方ないと思うんです。でもこの前、高いところにある本を何事も無かったみたいに取ってくれたのを思い出したんですよ。だからそのお礼にでもちょっと良い事言っておこうかなぁって。言ったんですよ。そしたら大笑いされたんです。ひどいですよね。
(それだけじゃない。私が泣いていると決まって頭を撫でてくれるし、些細な事でもあなたはちゃんと見ていてくれて本当に私はそれで満たされていたし、誠実って言う言葉は大げさだけどあなたのために使おうと私は思った。)


「あなたの言葉のトゲが気になるんですけど?」


「それなら、ごめんなさい。」


彼は立ち上がって私の頬を触った。その手を退けてやろうと重ねる事になった私の手。離れたほうがいい。なんとなく私の直感。隊長は私にキスをした。一瞬の出来事。


「これでも誠実だと言い切れますか?」


「・・・言いたいです。」


私はあなたが本当は優しい事を知っている。五番隊の藍染隊長のように真っ直ぐで、きれいで、善意に溢れた完璧さはないけれど。でも私はこの人が好きだ。何かを作り上げる事のできる手を持っている。(それが善悪のどちらに向くのかはわからないけど。)


「それなら、誠実を演じましょうか。」


「がんばってください。」


彼はまたキスをした。今度はほんの少しだけ長く。「いいんですか?怒らなくて。」と。薄い笑いを浮かべるあなたは私に何をして欲しいの?ほら、あなたは・・・。


彼女が部屋を出て行った。これからもう少しだけ話しをしようと思ったのに。「30%の真実を君に」見ればわかるその文字通りにまったくといっていいほど忠実に。あなたに見せましょう(あなたのまったく知らない私を)。残りは今までのように誠実なまま。あなたは私を見破らなくてもいい。だから、もう一度こっちへ来てごらん。そうしたらあなたに話しましょう。あなたについてと私についてを。私もあなたも。

(050211)