「早く逃げよう!すぐそこまで来ている!振り向いたら塩の柱になって壊されてしまう。さぁ、僕の手を掴んで走って!!これからもずっと一緒だ。ああ、なんて事を!!どうして君は塩の柱になってしまったんだ・・・」 頭が痛くて目が覚める。いつもの事だ。夜寝る時は必ず耳鳴りがする。私はどこかおかしいんじゃないか。笑えない冗談だと思った。私の毎朝は頭痛で始まる。こんな新人の死神が「休ませてください」なんて言ったら「ずっと休んでいい。」という厳しくも当然の答えを聞くだけだ。すれ違った吉良副隊長はある意味尊敬にあたる人物だと思う。一回だけ隊長のお世話を任されたことがあるけれどストレスで死ぬんじゃないかと思った。 「ちゃん、すこしお話しましょ。」 私は後ろを向こうとしたけれど向けなかった。塩の柱になってしまうような気がしたから。ゆっくり後ろを向くと隊長は副隊長の気持ちも知らないで私と遊びに来たみたいだった。 「ねぇ、今どうして後ろ向いてくれへんかったの?」 「・・・考え事してました。」 そういうと隊長は笑った。それから私の肩を指が肉に食い込むくらい強く、骨に当たりそうなほど掴まれた。痛いと言ってしまえばそれが今以上の悲惨の状況を呼ぶ事に恐れて声が出せなかった。誰か助けて。私 は ま だ ロ ト の 妻 の よ う に は な り た く な い の よ 。 「ほら、もうそこまで来てる。逃げても振り向いたらあかんなぁ。捕まってここで君はおしまい。そう言えば、塩の柱って最後どうなるんやろう、ねぇ。」 |