アメジストの色をしたマニキュアを買った。ものすごく大人の色に見えたけどおかしい、私の色じゃない。私はこんな大人の色は似合わない。友達にあげたら友達は悔しい程似合っていた。もういい、早く落としちゃえばいい。すごく大人の色だった。私が似合う日なんて一生来ないくらい。
「高飛車な色だな。」
「あっそう。」
「すぐ、そうやって怒る。」
修兵は座って除光液をコットンに含ませてから、「ここに座れ」って言って私を座らせた。私の手を取って私の爪から一本ずつ色を少しずつ落としていった。異様な光景に人が見たらどう思うんだろう。そんなことを思ってる間にも修兵の几帳面さでしっかり落ちていった。除光液を含んだコットンにアメジストが溶けていく。さっきからずっとツーンとした匂いがする。片手が終わってもう片手も同じように丁寧に丁寧に、除光液の匂いを残しながら。
「うわ。スゲー真っ紫。」
「ありがとう。」
除光液の匂いの残る私達の指先。私はその指先で修兵のおでこを軽く弾いたらパチンとものすごくいい音がした。ご機嫌斜めになって後ろを向いた修兵に手を伸ばしちゃえば面白いほど近くなった距離。私は修兵に背中から抱きついた。
「修兵。」
「なんだよ・・・」
ちょっと上を向いた修兵のさっき弾いて少しだけ赤くなってるおでこにキスをした。
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