私があいつを見たときあいつは私とはまったく違う小動物みたいな可愛い女の子とキスをしていた。会えないから会いたくなるとしたなら人はワガママでどうしようもないね。自分から傷つけておいてまだ欲しいなんて残酷だよ。 「"やり直そう"って言われたのか?」 黒崎はイイ奴だ。私の言う友達でも時々わかってくれない事をこんなにわかってくれるのは黒崎かお母さんかだと本気で思う。 「うん。すっごくムカついた。」 あ。影が重なった。ちょうど肩がぶつかってる。どこかが痛いくらいドキッとした。 「やめとけ。また調子こいて同じ事するんだよ。そーゆーやつは。」 「うん。」 黒崎はだまって歩く。私は黒崎の背中が好きだ。あの骨張った大きな手もいつも聞いてる洋楽も好きだよ。 「もう絶対誰かを好きになんかならない!強い女になる!」 「・・・前もそう言ってたな。」 黒崎を好きになってたら私は幸せになれたかな。傷付くことも忘れて愛し合えたかな。ずっと考えてるけど自分勝手にあきれて嫌になるよ。どうして、たった黒崎の何でもない一言が胸に刺さるの。簡単な言葉なのに、何の捻りもないのに、漫画で見て憧れた言葉じゃないのに。 「黒崎、今度CD貸して。あのごついやつ。」 「あぁ、あれな。」 |
Pieces Of Me
(051207)