あたしがバカだった。なんでサボっちゃったんだろうね。そんなおバカさんが放課後、教室に2人仲良く残って掃除しながら反省させられるなんて思いもしなかったよ。あたしは箒を捨てて椅子に座ってた。檜佐木君は意外と真面目に箒で地面をきれいにしてた。

「帰りたいと思わない?」

「昨日サボったのはお前。いい加減あきらめろって。何でサボったんだよ。」

「ひみつー。」

恋愛運、友情運が全部なし。占いならよかったよ。信じてないから気にしない。全部リアルな世界のお話。嫌になって休んだらサボったのがバレて居残りの刑(でもどうしてバレたんだろう?)。悪いときには悪いことが重なるね。落ち込む気にもなれなくて笑っちゃうよ。

「俺はね、昨日女の子に告白したかったんだけどー、気合入れて学校に着いてビックリ。休みっていうから帰ったわけ。」

「今日、告白した?返事は?かわいい子?」

そうか。帰りたくもなるよ!あたしだって帰っちゃうよ!小柄で可愛い女の子が好きそうだ。ちょっと見てみたい。

「かわいくはない。よく泣いてるけど泣いた顔なんかブサイクで見れねーの。」

「うわー・・・本当にその子好きなの?」

「大好き。」

真っ直ぐあたしに話す檜佐木君の目があたしを射抜く。少しドキドキしてる。あたしのための言葉じゃないってわかってる。勘違いするほど子供じゃない。檜佐木君の顔が歪んだ。しゃべれない。言葉が途切れるのがわかるから。急いで顔を逸らした。檜佐木君はずっと頭をなでてくれた。どれくらいそうして泣いただろう。友達があたしの彼氏と付き合ってた。ずっと。騙されてたのかなって思うとどうしようもなかった。

「俺が昨日ワザと休んだのはさもうひとつ理由あってさ、2人っきりになりたかったわけ。そいつと。」

「・・・悪かったね。ブサイクで。」

「返事は?」





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(060105)