その人は子どもと遊んでるだけだと思う。私の言葉に笑って私の頭をなでる。いろいろな意味で私は、その仕草が大嫌いだった。「止めて。嫌。」そんな私の一言にまた笑って私の上を覆った。肌と肌が接触する感触。唇が重なる。 「子供扱いをしているわけじゃない。」 「嫌。」 ベッドの軋む音。私の携帯電話が鳴った。なかなか鳴り止まない携帯電話に妙な焦りを感じる。うっかりしてた。電源くらい切っておけばよかった。無視して愛撫を続けるその人を気にしながら軽く手を伸ばして無残に散らばったスカートを探った。ポケットの中に入った未だ鳴り止まない携帯電話の電源を切ろうとするとサブウィンドウがちらりと視界にちらついた。あ、どうしよう。そう思った途端に携帯を持ってるほうの腕を思いきり掴まれて携帯電話が床にゴトンと音を立てて落ちた。同時に鳴り止んだ。多分壊れたんだ。すごい音がしたから。 「失礼だな。君は。このままやめようか?」 ごめんなさい。」 謝って、その人に抱きつくと独特な匂いが鼻腔をくすぐった。 |
壊れた地上へ
(060301)