ヘムロック






「大好きな人に傷つけられたらどうする?」



「それでも、生きる糧にしてやる。」



そうやって友達と話をしていたに心底惚れたのは昔の話だ。俺は、男だ。その直後に体の芯が熱を持った。始めての感覚に俺はどうしようもなくなった。ちょうどこの感覚は、セックスの時の高揚感にとてもよく似てる。
きっかけは作るものだ。もし、と話ができるなら埃くせぇ本の整理もやってやるよ。手段は選ばない。

「大好きな人に、ズタボロにされたら?」

「生きる糧にしてやりますよ。」

嘲るように笑ったを見て俺はどうしようもなくなった。別にキレイじゃない。別に上品でもない。

押さえない衝動!脈を打つ旋律!激しい過虐心!

「傷ついてみる?」

一瞬目を細めて、俺を睨んだ。そして、一言。



「どこまでも、傷ついてやるよ。」




(060502)