冷たい夜の海で





「大丈夫。わたしが守ってあげる。」



そう言いいながら僕を抱きしめたあなたはとてもキレイだと思う。あなたの腕は白くて、細くて今にも折れてしまいそうだと何度も思った。思ったその腕が今は僕を抱きしめている。僕の輪郭に触れ、口付を何度も交わす。

「ココにはあなたを傷つけるものは一つもない。」

優しく笑って包みこむ手。そう言って僕を抱きしめるあなたは残酷だ。鮮やかな棘が僕を蝕む。

「あぁ、本当にあなたの一番近くにいられる。」

「もう離れないで僕の側にいて。」

「ずっとここにいるから。」

けど、目の前から君は居なくなり光だけが広がった。さぁ、ここは何処だ!君は何処だ!





君を待っている

060611