「二人なら、生きていけると思ったんです。」



そんな運命を信じた事がなかった。二人で生きれるのなら、一人でだって生きていけると思っていた。あなたに会うまでは。

私が地面を見て歩いていると影が重なった。ふと視線をあげると男の人がいた。恋に落ちたんだと思った。どのくらい、男の人と見つめあっていただろう。

「・・・あ、そっか。」

声が響いた。低い声だった。頭をガサガサする仕草が面白くて笑ってしまった。そうなのかと。それが出会いだった。
私達は手をつないだり、キスをしたり、そして何回目かの夜で始めてのセックスもした。心が満たされていた。
もう、この頃の私はあなたがいなくなる事は死と同じだった。

「お前は、強い。もう、俺みたいなヤツに騙されんなよ。」

私は何も言えなかった。もしも、私がヒステリックに泣き叫んでたら結果が変わったのかな。それは今もわからないままだよ。

「私には・・・修兵しかいないよ・・・どうしたらいいのよ・・・」

あなたはさ、本当に言葉がヘタクソで何度も私を傷つけたね。でも、次に会った時はたった一言の「ごめん」と優しさをくれたね。本当に嬉しかったよ。

「俺にだって、お前しか、いねぇんだよ!こんなこと、言いたくねぇよ!言いたくて言ってると思ってんのかよ!!」

「行って!」

「・・・、俺」

「行って!!」

あなたは私の欲しかった言葉をくれた。

、ずっと愛してる。」

私にはあなたしかいませんでした。あなたにも私しかいませんでした。それだけで十分だった。
あなたがこの世界の人間じゃないことも全部知ってたからこの別れは必然だね。あなたがいなくなったら「死ねばいい」と思っていた弱い私はどこにもいなかった。






繰り返す喧騒から逃げた二人


(060611)