あなたが、私を愛してないことはずっと昔から知っていた。だからあなたを欲しいとは思わなかった。なのに、私はあなたを愛してしまった。優しくするだけ優しくしておいてやっぱりあなたはいざって時には、私を信じてくれなかった。

「・・・ごめん。」

「そう思うくらいなら・・・」

言えなかった。言ってしまえば私の中の汚いものが全部溢れ出るから。私の心に底はない。

「ごめん、けど、信じて。僕は・・・」

気がつけばあなたを突き離していた。繋がる瞬間の悲しいあなたの顔が今でも焼きついて離れない。手を繋いだときの冷たさが私を冷静にした。何度抱きあっても射精しないあなた。

「ごめんなさい・・・。」

「もういいよ。十分だ。僕に付き合って苦しんでくれた。」

叶うならば、もしも一言だけ伝えることができるならばそう。たった一つの言葉を。あなたを苦しめる枷にしかならないたった一言。






愛して




(060905)