売春婦の様に簡単に呼んで欲しくない。一つ一つの意味を深く確かめて欲しい。お願い。あなたの生む言葉に価値など無くなってしまうのだから。

「いい大人がみっともないよ。」

あなたは私をぐんと引っ張った。大きく口が開いたと思ったら貪る程のキスに溺れかけていた。ようやく口を離すことができると笑ってる男がいた。

「みっともない。」

ゆっくり確かめるように(でもそれは、誰に?)言った。

「いい歳した大人が、一つ一つの言葉に責任も持てないのはみっともないし、くだらないよ。」

「そう見えるだろうな。」

この男に満足するまで使われて飽きられて捨てられることくらい私はわかってる。そんな男のために泣く女にはなりたくない。いいかげんで、みっともなくて、くだらなくてだらしがなくお酒ばかり飲んでいるそんな頭の悪い男には。

「その辺の奴等の方が俺よりみっともない。」

「あなたの見える範囲が狭いんだよ。」

「なぁ、。お前の見たい世界はどこにもねぇんだよ。」

そんなのあなたを見てたらわかる。外で売春行為に走る大人達。ああ。世界は嘘で出来た薄っぺらな塊で壊そうとする人がいないだけだ。内側からでは壊れないと思ってるから。確かに外から誰かに壊してもらうほうが楽だ。

「私なんか相手にして楽しい?あんたはどういう目で私を見るの?」

私はやっぱり子供だ。全てを汚いと否定する。直接触れる事すらも恐れてしまうから。声が出ない。動かない。あなたは首の筋をうまくたどる。ざらついた舌の感触が私を襲う。怖いと思った。手と手が重なる。あなたはそれに無我夢中になり大きく口を開ける。やっぱり私は子供だ。耳元で低い男の声がした。


「世界はみっともなくてくだらねぇんだよ。」


骨に声が響いた。特に大きな声でもないのにジンジンする。手の先まで舌が私をたどったら私は二度とここへは戻れない。

(050320)