「・・・うるせぇよ!!」
無性に腹が立って、に紙を投げつけたらは黙って拾っていた。
それにはなにも言っていない。何故俺がこんなにも荒れているか。
それは一週間前に人を二人殺したからだ。今俺は自分の無力さを呪っていた。
彼女は拾い終わった紙を教卓に置いた。
「檜佐、」
「黙れ!!」
そう言うと本当に黙ってこっちを睨んでいた。
失ったとき得たものは一生癒えることの無い傷。
「・・・用があったんじゃないのか?」
「先生が、呼んでたよ。」
そうゆっくり言ったは、俺をまだ睨んでいた。
いつものあの優しい大きい目は今しっかり意志を持っている。
すっと、何かが走る。
教室を出ようとすると、後ろから大きな声がした。
「可哀想も、痛くないも、大丈夫も、気にしないでも、私は言ってあげてないよ。
他の女の子みたいにちやほやして側にいてあげたこともなかったじゃない。
同情して、イライラさせることもしたことなかったじゃない。なのに怒るのは卑怯だよ。
カッコいい言いわけ探してるの?悲劇のヒーロー気取って最低。」
だからイライラするんだ。
俺はまた、もといた方向に戻って行った。
「じゃあ、お前が俺の立場にたってみるかよ!!」
グッと、手を引っ張って俺を自分に近づけて何をするかと思った。
ガンガンガンガン響く頭は立ち眩みの様なそんな感覚に溺れた。
心の中に溜まりきっていた嫌なものが全部無くなった。
でもまだしっかりとそれは残っていて未だに忘れさせるわけじゃないけど。
「言葉を私は知らないんだよ?」
数日後、何事も無かったかのように振舞う彼女を見て上手だと思った。