「やだ・・・!やめてください!」
「どうしよう・・・ねぇこっち向き?」

下を向いていた顔を髪を引っ張って僕に向けた。濡れた目、唇からうっすらと見える血。美しい、と思った。頬を殴った。あらら、呆れた。の身体はきめ細かくて白い。そんな肌があったのは昔の話で、今は面影すら残していない。何故か?どうなってるか?ええよ、教えてあげるよ。腕と足には切り傷、顔以外のいたるところに痣。ほら、誰も想像がつかない。

「どーしても止めて欲しい?」
「・・・何度言えば、わかるの!!」
「どうしようなぁ、僕は君の事大好きやし・・・ねぇ?」

知らない、信じない、認めないとでも言うように僕を睨んだ。思わずまた顔を叩いてしまった。赤く腫れてしまった。ああ、絶対に顔だけは傷つけないって思ってたのに。キスをした。深く、深く、深く。

「もう、嫌。」

唇を離すと小さい消えそうな声でハッキリ聞こえた。でも知らないフリ。大音量の音楽の中から僕は君の声を探して飲み込める。

「誰か助けて・・・」

両手で顔を押さえる。小さく震えている細い肩にも傷跡がある。こうでもしないと、満たされない。

「大好きなの、知ってるやろ?」
「知らない・・・!!そんなの・・・!!」

瞬間、が僕を哀れむような目で見た。そしてその瞬間本当の愛しさを見た気がした。

「殺したいなら、」
「殺したら楽しくないわ。もーっと傷ついて僕を憎んで恨んで。」






ただただ、僕が、を愛してるだけ。




(060913)