06.My Crystal Sky
お互いがしっかりと会って話すような関係にまで行きついたことが心から嬉しいと思う。
もちろんそれどまりで何も進歩していない。子供のようだと思う。
の男が死んでから、もう1年がたつと言う。命日も近いと言う。
そんなに俺はの近いところにいたのかと思った。
「どんな奴だった?」
「優しかったよ。」
「正反対だな。」
笑った。あの笑顔が見れる今の自分は幸せだと思う。
精一杯あがいていたけどそれでもよかった。
空回りして疲れてしまっても最後に笑ってくれるならそれでよかった。
「好きだった。本当に本当に大好きだった。だからいなくなるなんて思わなくて。
でも探し回ってもいなくてどうしたらいいのか急にわからなくなって毎日毎日ひっかかるモノも無くて。
途中でわからなくなって・・・もう一度でいいから君に会いたい、そう思うことがあるんだ。」
毎年毎年この時期に、この話を聞くことになってもかまわない。
抱きしめたって何もないと知ったのは今じゃないけど。
映画のワンシーンのように上手く抱きしめてあげれるわけじゃない。
「・・・忘れろなんて絶対に言わない。」(忘れて欲しいけど。)
「もしも、こうしてる今もその人に重ねても?」(重ねてないけど。)
「忘れたくなったら忘れればいい。悲しかったら側にいてやる。」(忘れて欲しいけど。)
ぐっと彼女は手を握った。何かを言おうとしていた。
「私、嫌な子だよ?檜佐木君が知ってる私だけじゃないんだよ。」
「 好 き だ 。 。 」
「はい。」
「今度は怒んないんだな。」
そうして、はぐっと俺は突き放して言った。
「 好 き よ 。 修 兵 君 。 」
ここに確かに何かはある。あった。
「嘘じゃないよ。」
「知ってる。」
彼女は、強くない。普通の女の子で、普通のどこにでもいて気が強くてイタズラっ子で。
それでも、やっぱりワガママで泣くし笑うしどこにでもいる普通の女の子だ。
「。ずっと、悪かった。」
傷つけてばかりで何もできないくせに意地を張った。
自分を守るために逃げ回った。逃げ回って捕まった。
「 キ ス で も し ま せ ん か ? 」
そう、が言って静かに静かにゆっくり触るようにキスした。
ものすごく緊張する行為だと知った。噛み付かないように。
きっと、もう彼女の目に映っているのは自分だと思う。
そうだったらいいと今、切望している。
切望する自分はきっとひどく醜いんだろう。
もう一度キスをした。優しく優しくキスをした。
残ったものは喪失感でもなければ痛みでもない。
こうして一つ一つ重ねながら歩いていくことができたら幸せだと思う。
「おばあさんになるまで好きでいられたらいいと思う。」
「女の子だな。」
「修兵君は?」
「そうだなぁ、飽きるまで。も俺も飽きるまで。どっちかじゃダメだけどさ。」
彼女は嬉しそうに笑った。
「もう一度だけ、私も人を好きになりたかったのよ。」
い つ か 光 る 空 が 君 と 見 た い 。
好 き な 人 が 笑 っ た 。